均質材料は、機械的な方法でそれ以上分けられない、全体が均一な組成を持つ材料のことです。英語では homogeneous material といいます。ねじを回す、削る、切る、はがすといった機械的な操作で分離できるなら、それらは別々の均質材料として扱います。
RoHS指令の閾値は、この均質材料ごとに判断します。カドミウムは0.01重量%、それ以外の9物質は0.1重量%です。製品1台あたりでも、部品1点あたりでもありません。
切り方の例
| 部位 | 均質材料としての扱い |
|---|---|
| 母材の鋼 | 1つの均質材料 |
| めっき層 | 母材とは別の均質材料 |
| 表面の着色被膜 | めっき層とは別の均質材料 |
| 樹脂ワッシャ | 別部品であり別の均質材料 |
めっき層は薄いので、製品全体に対する重量比はごく小さくなります。しかしめっき層そのものの中での濃度を見るため、六価クロムのような物質は容易に閾値を超えます。薄いから問題ない、という判断は誤りです。
どこで出てくるか
chemSHERPAの成分情報を入力するとき、構成を階層で入れていく画面がこの考え方に対応します。差戻しの理由としても頻出で、部品単位でまとめて入力したために材料の切り分けが足りない、と指摘されます。
実務上の注意
一つ目は、どこで切るかの判断に唯一の正解がないことです。塗膜を層ごとに分けるか一体として扱うかは、材料の実態で変わります。だからこそ、なぜその単位で切ったのかを記録に残しておく必要があります。監査で聞かれるのは結果より根拠です。
二つ目は、REACH規則と混ぜてしまうことです。REACH第33条の0.1%は成形品単位で、均質材料単位ではありません。同じ0.1%でも分母が違います。
切り方の具体例は均質材料の単位をどこで区切るか、分母の考え方は0.1%の分母は何かにあります。閾値の一覧はRoHS指令にまとめています。
分析を頼むときの伝え方
分析会社に依頼するとき、部品をそのまま渡すと部品全体の平均濃度が出てくることがあります。それでは適合判断に使えません。どの層を測ってほしいかを指定してください。めっき層だけを剥離して測る場合と、母材を測る場合では、費用も納期も変わります。めっき膜の分析は精密分析より納期が長くなるのが通例です。
報告書を受け取ったら、測定対象がどの部位かを必ず確認します。この記録が、次にSVHCが追加されたときや監査を受けたときの根拠になります。費用の実勢は分析費用の相場にあります。
接着剤やインクも均質材料として分けますか
機械的に分離できるかどうかで判断します。塗膜やインク層は下地から機械的にはがせることが多く、その場合は別の均質材料として扱います。分離できないほど混ざり合っているなら一体として見ます。
部品全体の重量で計算してはいけませんか
RoHSの適合判断としては使えません。部品全体で薄めると濃度が下がり、実際には超過している材料を見落とします。分析を外注する場合も、どの層を測ったかを報告書で確認してください。