全フッ素(TF:Total Fluorine、またはTOF:Total Organic Fluorine)は、個別のPFAS(有機フッ素化合物)物質を1つずつ特定せず、試料に含まれるフッ素の総量を測定する試験の対象を指します。PPWR(EU包装規則)が定める食品接触包装のPFAS制限では、この全フッ素の測定が最初のスクリーニングとして使われます。
なぜ全フッ素から測るのか
PFASは数千種類の物質を含む総称で、すべてを個別に定量しようとすると試験の種類が膨大になり、費用もかさみます。そのため実務では、まず全フッ素スクリーニングで大まかな総量を把握し、基準値に近い、あるいは超えている場合にのみ、個別物質のターゲット分析やTOP分析に進む、という段階的なアプローチが取られます。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 全フッ素スクリーニング | 個別物質を特定せず、フッ素の総量を測定 |
| 2. 有機/無機フッ素の分別 | 全フッ素のうち、有機フッ素由来の割合を確認 |
| 3. 個別物質のターゲット分析/TOP分析 | 必要に応じて個別のPFAS物質を特定して定量 |
基準値との関係
食品接触包装のPFAS基準には、個別PFAS25ppb、PFAS合計250ppb、総量(全フッ素換算)50ppmという3つの数字があり、全フッ素はこのうち3つ目の測定対象にあたります。全フッ素の値が50mg/kgを超える場合は、製造者による証明が必要になるという実務上の目安もあります。基準値の詳しい内訳は食品接触包装のPFAS。25ppb / 250ppb / 50ppmの3つの数字にまとめました。
未確認
本記事のPFAS基準値は、JPIが2026年4月10日に公開した資料を出典としています。EUR-Lexの規則原文における該当条文の逐語確認は、この記事の執筆時点では完了していません。
全フッ素の値だけで合否は決まりますか
決まりません。個別PFAS・PFAS合計・総量(全フッ素)は、それぞれ別の基準値と測定方法を持ちます。全フッ素スクリーニングは、まず大まかな傾向を把握するための最初の段階です。
いきなり個別物質のターゲット分析を依頼してもよいですか
費用がかさみやすいため推奨されません。まず全フッ素スクリーニングで総量を把握し、基準値に近い場合にのみ個別分析に進む順序のほうが、費用を抑えながら実態を把握できます。