ハロゲン分析とは、製品に含まれるフッ素(F)・塩素(Cl)・臭素(Br)・ヨウ素(I)などのハロゲン系元素の含有量を確認する分析です。分析会社ecoAngelの価格表を確認したところ、4物質(F・Cl・Br・I)の分析が36,000円から、RoHS指令の6物質分析とハロゲンフリー分析を組み合わせたセットだと74,400円からという価格設定でした。分析方法はICP分析(誘導結合プラズマ分析)で、納期は15営業日となっています。
確認できた実額と、価格差への注意
| メニュー | 対象 | 価格 |
|---|---|---|
| ハロゲン4物質分析 | F・Cl・Br・I | 36,000円〜 |
| RoHS+ハロゲンフリーセット | RoHS6物質+ハロゲンフリー分析 | 74,400円〜 |
| 分析方法 | ICP分析(誘導結合プラズマ分析) | 納期15営業日 |
この価格は、以前の社内調査で把握していた18,000〜20,000円という水準とは差があります。依頼するラボや対象物質数(4物質か、それ以上か)によって価格帯が大きく変わる可能性が高く、記事化する際は「どこのラボの、何物質を対象にした価格か」を必ず明記し、複数社の価格を並べて比較できる形にすることをおすすめします。単一の価格を「相場」として断定しないほうがよいという点は、依頼する側にとっても同じです。見積もりを取る際は対象物質数と分析手法を必ず確認してください。
ハロゲン分析はRoHS対応の入口
RoHS指令が直接ハロゲンを規制しているわけではありませんが、難燃剤としてよく使われる臭素系化合物(PBB・PBDE)がRoHS制限物質に含まれているため、ハロゲン分析はRoHS対応のスクリーニングとして使われることが多くなっています。ハロゲン分析で総量に問題が見つかった場合、次にPBB・PBDEなど個別の臭素系難燃剤を特定する分析に進む、という2段階の流れが一般的です。
いきなり個別物質の精密分析を発注すると費用がかさむため、まずハロゲン総量のスクリーニングで問題の有無を大まかに把握し、疑わしい結果が出た部材だけを個別分析に回すという順番のほうが、全体の分析費用を抑えやすくなります。
見積もりを比較するときに確認すること
ラボによって価格差がこれだけ大きい理由は、対象物質数(4物質のみか、それ以上を含むか)、分析手法(スクリーニングか精密分析か)、セット割の有無によって前提条件が違うためです。金額だけで比較せず、見積もり時に対象物質と手法を確認する必要があります。特に「ハロゲンフリー分析」という名称は、規格によって判定基準(Br 900ppm以下・Cl 900ppm以下・BrとClの合計1500ppm以下、など)が異なる場合があるため、どの規格に基づく判定かも合わせて確認しておくと、後の認識違いを防げます。
ハロゲンフリー基準の読み方
「ハロゲンフリー」を名乗るための基準値は、依頼先の規格によって異なります。代表的なものとしてIEC 61249-2-21があり、臭素(Br)900ppm以下・塩素(Cl)900ppm以下・BrとClの合計1500ppm以下、という3つの条件をすべて満たすことを求めています。見積もりを依頼する際は、単に「ハロゲンフリー分析をお願いします」と書くのではなく、判定基準としてどの規格を使うかを明記してください。規格を指定しないと、ラボ側のデフォルト基準で判定され、自社の取引先が求める基準と食い違うことがあります。
顧客からの仕様書に「ハロゲンフリー品であること」とだけ書かれている場合は、どの規格に基づく判定を求めているかを事前に確認したほうが安全です。基準が曖昧なまま分析を進めると、結果が出たあとで「求めていた基準と違う」という手戻りが発生します。
難燃剤メーカーへの確認という近道
ハロゲン分析を自社で発注する前に、使用している難燃剤や樹脂のメーカーに、その材料のハロゲン含有状況を問い合わせるという方法もあります。材料メーカーがすでにハロゲンフリー品として販売している場合、メーカー発行の証明書やデータシートを入手できれば、自社で分析費用をかけずに済むことがあります。まず材料メーカーに確認し、証明書が得られない場合にだけ自社で分析を発注する、という順番にすると、無駄な費用を避けられます。
見積もり依頼のときに伝えること
ハロゲン分析の見積もりを依頼する際は、対象物質(4物質のみか、それ以上か)、判定に使う規格(IEC 61249-2-21など)、検体の形態(樹脂・基板・ケーブルなど)の3点を伝えると、精度の高い見積もりが返ってきやすくなります。特に判定規格を指定しない場合、ラボ側のデフォルト基準で判定され、後から「求めていた基準と違う」という手戻りが起きることがあります。見積もり依頼のテンプレートを社内で1つ用意しておき、毎回同じ3点を漏れなく伝える運用にしておくと、担当者が変わっても同じ精度で依頼できます。
RoHS分析全体の中での位置づけ
ハロゲン分析は、RoHS対応の分析メニューの中では比較的安価なスクリーニング手段として位置づけられます。RoHS指令が直接規制する鉛・水銀・カドミウム・六価クロムの重金属4物質分析、フタル酸エステルの4物質分析、そしてハロゲン分析(臭素系難燃剤のスクリーニング)を、それぞれ独立した検討項目として見積もりを取ると、総費用の見通しが立てやすくなります。分析費用の全体像を1つの記事にまとめた分析費用の相場(RoHS・SVHC・PFAS/2026年実勢)もあわせて確認すると、どの分析から着手すべきかの判断材料になります。
基板・ケーブル製品での位置づけ
プリント基板やケーブル製品では、ハロゲンフリー化が取引先から仕様として指定されることが増えています。基板メーカーの多くは、材料メーカーからハロゲンフリー品であることの証明書を取得しており、その証明書を自社製品の技術資料に添付する運用が一般的です。自社で分析を発注する前に、使用している基板材料・ケーブル被覆材のメーカーに証明書の有無を確認する一手間が、分析費用を抑える最初のステップになります。
依頼から結果活用までの全体像
ハロゲン分析は、部材の絞り込み、見積もり依頼、検体準備、分析、結果の解釈、社内共有という一連の流れの中の一工程にすぎません。分析結果だけを見て判断を終わらせず、次にPBB・PBDEの個別分析へ進むのか、技術文書への反映で完結させるのかまでを見据えて依頼すると、分析結果を受け取ってから次の動きに迷うことがなくなります。
社内共有時の伝え方
ハロゲン分析の結果を社内で共有する際は、数値の羅列だけでなく「この結果がRoHS対応全体のどの段階にあるのか」を添えて伝えると、関係部署の理解が進みます。スクリーニング段階なのか、個別物質の精密分析まで終えた段階なのかを明示しておくと、次に何をすべきかの判断が担当者以外にも共有しやすくなります。
価格情報を扱う際の心構え
この記事で示した金額は、あくまで2026年9月時点で確認できた2社の公開価格です。ハロゲン分析はラボによる価格差が特に大きい分野であるため、この金額を「相場」として鵜呑みにせず、実際に発注する際は必ず複数社から見積もりを取ることをおすすめします。見積もりを比較する際は、この記事で挙げた対象物質数・判定規格・検体形態の3点を、各社の見積もりに揃えて記載してもらうよう依頼すると、比較の精度が上がります。
ハロゲン分析だけでRoHS対応は完了しますか
完了しません。ハロゲン分析は臭素系難燃剤の有無を推測するためのスクリーニングであり、RoHS指令が規制する鉛・水銀・カドミウム・六価クロムなどの重金属は別途分析が必要です。
なぜラボによって価格差がこんなに大きいのですか
対象物質数(4物質のみか、それ以上を含むか)、分析手法(スクリーニングか精密分析か)、セット割の有無によって前提条件が違うためです。金額だけで比較せず、見積もり時に対象物質と手法を確認する必要があります。