フタル酸エステルは、RoHS指令で規制対象になっている可塑剤の一群で、DEHP・BBP・DBP・DIBPの4物質が代表的な規制対象になっています。eco分析.comの価格表では、玩具・育児用品向けの3項目(DEHP・DBP・BBP)分析が24,000円から、対象を6項目(上記3つにDINP・DIDP・DNOPを加えたもの)に広げると30,000円からになります。
対象物質数ごとの価格帯
| 分析メニュー | 対象物質数 | 価格 |
|---|---|---|
| 玩具・育児用品向け | 3項目(DEHP・DBP・BBP) | 24,000円〜 |
| 拡張版 | 6項目(上記+DINP・DIDP・DNOP) | 30,000円〜 |
| RoHS2.0対応 | 4項目(DEHP・BBP・DBP・DIBP) | 24,500円〜 |
| 広範分析 | 16項目 | 40,000円〜 |
通常納期は8〜10営業日で、サンプル重量が200gを超える場合や成形品・完成品の分析では別途見積もりになります。同じ「フタル酸エステル分析」という名称でも、対象物質数が異なれば当然価格も変わるため、複数のラボを比較する際は対象物質のリストを必ず突き合わせてから金額を見るようにしてください。
RoHSの他の制限物質とまとめて依頼する
樹脂・ゴム・塗料・接着剤などの軟質材料にはフタル酸エステルが可塑剤として使われていることが多く、RoHS対応の分析では鉛やカドミウムなどの重金属分析と合わせて依頼されることが多くなっています。単独で依頼するよりも、RoHS指令の他の制限物質(鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・PBB・PBDE)とセットで見積もりを取ったほうが、検体準備の手間が一度で済み、総費用を抑えられる場合があります。
見積もりを依頼するときは、「フタル酸エステルだけ」なのか「RoHS10物質セット」に含める形なのかを最初に伝えると、ラボ側も適切なプランを提示しやすくなります。
3項目で足りるか、6項目まで要るか
顧客(取引先)がRoHS指令の4物質(DEHP・BBP・DBP・DIBP)への適合を求めているだけであれば3〜4項目分析で足ります。玩具・育児用品として販売する場合や、より広い規制(米国CPSC等)を意識する場合は6項目以上を検討します。自社製品の出荷先・用途によって必要な項目数が変わるため、分析を依頼する前に「誰から、何物質の適合を求められているか」を確認しておくと、過不足のない発注ができます。
サンプル準備で失敗しやすい点
フタル酸エステル分析は、可塑剤として使われている軟質部材(パッキン・チューブ・コーティング層など)をピンポイントで検体にする必要があります。製品全体をそのまま送ると、可塑剤を含まない部材まで一緒に分析されてしまい、結果の解釈が難しくなることがあります。検体を送る前に、どの部材が軟質材料に該当するかを社内の設計担当者に確認し、部材ごとに切り分けて提出する準備をしておくと、正確な結果が得やすくなります。
複合材料(複数の樹脂や塗料が積層された部材)の場合、層ごとに分解して分析するか、全体をまとめて分析するかでラボの対応が分かれます。層ごとの分解が必要な場合は追加費用がかかることが多いため、見積もり依頼の時点で部材の構造(単一素材か、積層構造か)を伝えておくと、後からの追加見積もりを避けられます。
分析結果を技術文書にどう使うか
分析結果報告書は、RoHS指令の技術文書(Technical Documentation)に綴じる根拠資料の一つになります。報告書単体では「いつ、どの検体を、誰が分析したか」が分かりにくいことがあるため、社内では検体の採取日・部材の図面番号・分析依頼書の控えをセットで保管しておくことをおすすめします。取引先から根拠の提示を求められたときに、この一式をすぐに出せる状態にしておくと、確認対応がスムーズになります。
RoHS10物質セットとの使い分け
フタル酸エステル単体で分析を依頼するか、RoHS指令が定める10物質(鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・PBB・PBDE・DEHP・BBP・DBP・DIBP)をまとめて依頼するかは、自社の対応状況によって選び方が変わります。すでに重金属4物質の分析を別途済ませている場合は、フタル酸エステル単体での追加分析のほうが無駄がありません。一方、初めてRoHS対応の分析を発注する場合は、10物質セットでまとめて依頼したほうが、検体準備の手間も見積もり取得の手間も一度で済みます。自社がどちらの状況にあるかを整理してから発注先に相談すると、余計なやり取りを減らせます。
分析頻度の目安
フタル酸エステルの分析は、材料や部材の仕様が変わるたびに必要になるとは限りません。同一サプライヤーから同一仕様で継続調達している部材であれば、毎回分析をやり直す必要は薄く、初回の分析結果とサプライヤーからの成分証明書の組み合わせで足りることが多くなります。分析をやり直すべきタイミングとしては、部材のサプライヤー変更、材料配合の変更、新規に採用する部材の3つが目安になります。逆に言えば、これら3つのどれにも該当しない部材まで定期的に分析し直すのは、費用対効果の観点で見直す余地があります。
玩具・育児用品業界特有の注意点
玩具や育児用品を扱う場合、フタル酸エステルの規制は国内外で複数の基準が並行して存在します。EUのRoHS指令に加えて、玩具安全基準や各国の消費者製品安全法など、出荷先によって求められる項目数や基準値が異なることがあります。輸出先が複数国にまたがる場合は、それぞれの基準で求められる対象物質のリストを一覧化し、最も厳しい基準に合わせて分析項目を決めておくと、出荷先ごとに個別の分析を繰り返す手間を減らせます。
輸出先の切り替え時にも見直す
出荷先の国が変わる場合、フタル酸エステルの規制基準も変わることがあるため、輸出先が増えたタイミングで対象物質数を見直す習慣をつけておくと安心です。
検体保管期間も確認しておく
分析後の残存検体をラボがどれくらいの期間保管してくれるかも、見積もり依頼時に確認しておくとよい項目です。再分析や追加項目の分析が必要になった際に、検体保管期間内であれば新たに検体を送り直す手間を省けることがあります。
よくある発注ミス
フタル酸エステル分析の発注でよく見られるミスは、対象物質数を明記せずに「フタル酸エステル分析をお願いします」とだけ依頼してしまうことです。この場合、ラボ側のデフォルトプラン(3項目か4項目か)で見積もりが返ってきて、後から「求めていたのは6項目だった」という手戻りが発生します。発注メールには、対象物質数と、自社が満たすべき規制・顧客要求を必ず明記する習慣をつけておくと、この種のミスを防げます。
見積もり取得から発注までの流れ
初めて分析を発注する場合の標準的な流れは、対象部材の特定、検体の準備、ラボへの見積もり依頼、見積もり内容の確認、発注、検体発送、結果受領という順になります。このうち時間がかかりやすいのが検体の準備段階です。社内に検体を切り出せる人員がいない場合は、外部の切削・加工業者に依頼する必要があり、その分のリードタイムも見込んでおく必要があります。全体のスケジュールを立てる際は、分析の標準納期(8〜10営業日)に加えて、検体準備にかかる日数を上乗せして関係者に伝えておくと、想定外の遅延を防げます。
フタル酸エステルはなぜRoHS指令の対象になったのですか
内分泌かく乱作用が指摘されたことから、2019年施行のRoHS指令改正でDEHP・BBP・DBP・DIBPの4物質が新たに制限物質に加えられました。
3項目分析で足りますか、6項目まで必要ですか
顧客がRoHS指令の4物質への適合を求めているだけであれば3〜4項目分析で足ります。玩具・育児用品として販売する場合や、より広い規制を意識する場合は6項目以上を検討してください。