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費用と相場

SVHC分析の費用相場

「前回いくらだったか」で見積もりを比べると、候補リストの増加分が抜け落ちます。まず今の物質数を確認してから金額を見ます。

SVHC(高懸念物質)は、REACH規則で候補リストに指定された物質群で、2026年9月時点で253物質に達しています(2026年2月4日公表の第35次追加分を含む)。製品にこれらの物質が含まれていないかを確認する分析を依頼すると、全253物質を対象にした「全項目分析」の費用相場は195,000円からになります。

実額と、価格が変わり続ける理由

分析会社大手の1社、eco分析.com(オルテック)が自社サイトで公開している価格をもとに整理すると、対象範囲によって次のように分かれます。

メニュー対象価格
SVHC全項目分析候補リスト253物質(第1次〜第35次)195,000円〜
RoHS+REACHフルセットRoHS対象物質+SVHC253物質230,000円〜
分析手法ICP-OES・UV-VIS・GC/MS・LC/MS・HPLC/DAD・GC/FCDの組み合わせ―
SVHC分析の公開実額(2026年9月時点・eco分析.com)

この価格帯の幅は、分析対象とする材料の種類数と、依頼するラボの分析手法によって変わります。全項目分析は候補リストが増えるたびに対象物質も増えるため、「前回いくらだったか」だけで見積もりを取ると、リスト更新分が反映されず安く見積もられることがあります。253という数字自体、2026年2月の第35次追加で251から253に増えたばかりで、次の追加(第36次)が来れば再び変わります。依頼時は必ず「現時点の候補リスト何物質分か」を確認してから金額を比較してください。

全項目と絞り込み、どちらから始めるか

全項目でなく、自社製品に使われている材料から見て可能性の高い物質(難燃剤・可塑剤・重金属化合物など)に絞って依頼すれば、費用を抑えられる場合があります。ただし絞り込みには材料組成の知識が要るため、初回は全項目分析で自社製品のベースラインを作り、2回目以降は変更のあった部材だけ絞り込む、という順番が現実的です。

材料の構成が把握できていない状態で最初から絞り込みを依頼すると、対象から漏れた物質がそのまま調査未了になります。初回の全項目分析にかかる費用は、そのベースラインを買うためのコストと捉えると判断しやすくなります。

複数のラボから見積もりを取るときの注意

複数のラボから見積もりを取る場合は、「253物質全部」なのか「主要物質のみ」なのかを揃えたうえで比較しないと、単純な金額比較が意味を持たなくなります。見積もり依頼のメールには、対象物質数(または「最新の候補リスト全数」という指定)と、検体の形態(樹脂・金属・複合材料など)を明記してください。この2点を書かずに「SVHC分析をお願いします」とだけ送ると、ラボ側の解釈次第で対象範囲が変わり、後から金額の食い違いが起きます。

納期についても、候補リストの追加直後はラボが混み合いやすい時期です。第36次の追加が発表されたタイミングでは、通常より納期が延びる可能性を見込んで依頼するとよいでしょう。

初めて依頼するときの流れ

初めてSVHC分析を依頼する場合、いきなりラボに連絡する前に社内で準備しておくとスムーズです。まず、分析対象にする製品・部品を決めます。全製品を一度に対象にすると費用が膨らむため、出荷量が多い製品や、欧州向け出荷がある製品から優先的に選ぶのが現実的です。次に、検体を用意します。成形品であれば、部材ごとに切り分けて提出する必要があるラボが多いため、事前に検体の切り分け方をラボに確認しておくと、差し戻しによる納期遅延を防げます。

見積もり依頼のメールには、対象製品名、部材構成(分かる範囲でよい)、希望納期、そして「候補リスト最新版での全項目分析」であることを明記します。この一文を入れておくだけで、リスト更新前の古い物質数で見積もりが返ってくる事故を防げます。

分析結果が出た後にすること

分析結果が返ってきたら、それで終わりではありません。結果報告書は、自社の技術文書や取引先への回答資料の根拠として保管しておく必要があります。保管する際は、検体のロット番号・分析日・使用した分析手法を報告書と一緒に記録しておくと、後日「このロットの結果か」を聞かれたときにすぐ答えられます。

もし分析でSVHCが検出された場合は、含有量が0.1重量%を超えるかどうかで対応が変わります。超える場合はREACH規則第33条に基づく情報伝達義務が発生するため、該当部材を使う製品すべてに影響が及びます。分析結果を受け取ったら、まず自社のどの製品にその部材が使われているかを横断的に確認することが、次に必要な作業になります。

検体を送る前に確認しておく3点

検体を送る前に確認しておくべき点が3つあります。1つ目は、検体の最小必要量です。ラボによって必要な検体重量が異なり、少なすぎると追加の検体提出を求められ、その分納期が延びます。2つ目は、複合材料の場合に単一素材へ分解する作業を自社で行うか、ラボに依頼するかです。分解作業をラボに依頼すると別途費用がかかることが多いため、事前にどちらが行うかを取り決めておく必要があります。3つ目は、結果報告書のフォーマットです。取引先に提出する前提であれば、取引先が指定する様式に対応しているかを確認しておくと、報告書を作り直す手間を避けられます。

複数品番をまとめて依頼するときの工夫

同じ材料構成の品番が複数ある場合、代表品番を1つ選んで分析し、その結果を「同一材料構成の他品番にも適用する」という扱いにできることがあります。ただし、この適用が認められるかどうかは取引先の判断基準によって異なるため、代表品番での分析結果を他品番に流用してよいかを、事前に取引先へ確認しておく必要があります。確認を怠ると、後から「品番ごとに個別の結果が必要」と言われ、追加の分析費用が発生することがあります。まとめて依頼できる範囲をあらかじめ整理しておくことが、分析費用を抑える工夫のひとつになります。

年2回のリスト更新に備える

ECHAの候補リストは、例年6月と1月前後の年2回のペースで更新されることが多く、更新のたびに対象物質数が増えます。この更新タイミングをあらかじめ社内カレンダーに登録しておき、更新の都度「自社品目への影響があるか」を確認する運用にしておくと、分析の必要性を後手に回らず判断できます。更新直後は情報が錯綜しやすいため、ECHAの公式発表とJETROなど公的機関の解説の両方を確認してから社内共有することをおすすめします。

見積もり有効期限にも注意する

ラボから提示される見積もりには、有効期限が設定されていることがあります。候補リストの更新をまたいで見積もりを使い回そうとすると、更新後の物質数と見積もり時点の物質数が食い違い、発注段階で再見積もりが必要になることがあります。見積もりを取得したら、有効期限内に発注できるかを確認し、期限を過ぎそうな場合は早めにラボへ再確認の連絡を入れておくと安全です。

記事化・営業資料への転用で気をつけること

社内資料や取引先向けの説明資料にこの相場観を転用する場合は、必ず「2026年9月時点」という調査時点を明記してください。SVHC全項目分析の価格は物質数の増加に連動して変わりうるため、古い時点の金額をそのまま使い続けると、実際の見積もりとの乖離が生じます。資料を更新する担当者が変わっても時点を追記する習慣が引き継がれるよう、資料のテンプレート自体に「確認日:」の欄を設けておくと安全です。

SVHCの253物質という数字は今後も変わりますか

変わります。SVHC候補リストは年に数回追加されており、追加のたびに全項目分析の対象数も増えます。見積もり依頼のたびに最新のリスト件数を確認することが必要です。

全項目分析と絞り込み分析、どちらを先にすべきですか

初回は全項目分析で自社製品のベースラインを作り、2回目以降は変更のあった部材だけ絞り込む、という順番が費用対効果として現実的です。ラボによってはRoHSとまとめた「フルセット」料金のほうが割安になる設定もあるため、両方必要な場合はまとめての見積もりも取ってみてください。

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