この領域でいちばん多い質問がこれです。「.shai という拡張子のファイルが届いたのですが、開き方を教えてください」。恥ずかしい質問ではありません。見たことのない拡張子は、見たことがないというだけです。
順番に進めれば開きます。急いでいる人は、まず自分がどこで止まっているかを次の表で特定してください。
| 症状 | 原因の見当 | 読む節 |
|---|---|---|
| ダブルクリックしても何も起きない | 関連付けがない。ツール未導入 | 拡張子の正体/ツールの入手 |
| Excelで開いたら文字化けした | そもそもExcelで開く形式ではない | 拡張子の正体 |
| ツールは入れたがファイルを選べない | 版の不一致、またはファイル破損 | 版の食い違い/よくある失敗 |
| 拡張子が .zip や .txt になっている | 転送経路で書き換わった | よくある失敗 |
| ツールをインストールできない | 権限がない。ソフト持込制限 | 入れられない場合の代替 |
拡張子の正体
.shai と .shci は、chemSHERPAデータ作成支援ツール専用の形式です。汎用の文書形式ではありません。
- .shai は chemSHERPA-AI、つまり成形品向けのデータ
- .shci は chemSHERPA-CI、つまり化学品向けのデータ
Excelで開こうとしても表になりません。メモ帳で開くと何か文字は見えますが、意味のある形では読めません。PDFビューアも関係ありません。どちらを受け取るべきかの判定はchemSHERPA-AI と CI、どちらを出すのか3問で判定にあります。
ここで大事なのは、開けないのは自分のPCが壊れているからではない、という点です。専用の読み手がいないだけです。
ツールの入手
データ作成支援ツールは、CMPコンソーシアムのサイトから無償で入手できます。配布元は cmp-consortium.com です。2025年10月29日にJAMPから改組されたため、古い資料に載っている chemsherpa.net のURLは当面リダイレクトされますが、新しいドメインを直接見るほうが確実です。改組で何が変わったかはJAMPはどこへ行った。CMPコンソーシアム移行で変わったことにまとめました。
2026年9月時点の最新は V2R1.03.0 です。日本語版と中国語版が2026年4月24日、英語版rev.1が2026年5月1日に公開されています。旧版からの切換え要請が出ていますが、明確な使用期限は公表されていません(未確認)。
ダウンロードするのは、閲覧のためだけであっても同じツールです。ビューア専用版のような軽い代替は用意されていません。
導入の前提を先に確認する
入れてから躓くより、先に確認したほうが速い。社内の環境で引っかかりやすい点を並べます。
| 前提 | 確認すること | 引っかかった場合 |
|---|---|---|
| 対応OS | 配布ページの動作環境欄と、自分のWindowsの版が合っているか | 合わない場合は共用PCを借りる |
| 実行環境 | ツールが必要とする.NET系の実行環境が入っているか | 情報システム部門に導入を依頼する |
| 展開先のパス長 | 深い階層や長いフォルダ名に置いていないか | Cドライブ直下の短い名前のフォルダに置き直す |
| 書込み権限 | 展開先のフォルダに書き込めるか | Program Files配下を避け、ユーザー領域に置く |
必要な実行環境の具体的な版数は配布ページの動作環境欄に記載があるので、そこを見てください。ここで版数を書き写すと、更新されたときに古い情報が残るので書きません。
展開先のパス長と書込み権限は、社内PCで最もよく効く二つです。ダウンロードフォルダの奥深くに解凍したままにせず、短いパスへ移してから起動してください。
開くまでの手順
- 配布元からツール一式をダウンロードする
- 解凍先を、C ドライブ直下などの短く浅いパスにする。フォルダ名は半角英数字にする
- 解凍したフォルダの中の実行ファイルからツールを起動する
- 起動した画面から、受け取った .shai または .shci を読み込む
- 読み込めたら、まず品番と作成日と物質リストの版を見る
4が要点です。ファイル側をダブルクリックするのではなく、ツール側から開きにいきます。関連付けが設定されていない環境では、ファイル側から開こうとしても何も起きません。
読み込んだ後にやることは受け取る立場によって変わります。受け取って検図する側なら提出前チェックリスト20項目を逆から使うと漏れが減ります。
版の食い違いで読めないとき
送り手のツールの版と、受け手のツールの版が違うと、読み込めないことがあります。
一般に、新しい版のツールは古い版で作られたデータを読めるように作られます。逆は保証されません。V2R1.03.0 で作られたデータを、それより古い版のツールで開こうとしている場合が、実務でいちばん多いパターンです。
対処は単純で、受け手側を最新版に上げます。上げられない事情があるなら、送り手に版を伝えて相談します。「弊社のツールは旧版のため読み込めませんでした。お手数ですが作成に使用された版をご教示ください」と一行書けば足ります。
物質リストの版も別に効きます。管理対象物質リストは Ver.2.13.00 が2026年4月に正式版として公開されました。改訂内容はPOPs規則、REACH SVHC(第34次・第35次)、REACH附属書XVII、医療機器規則、GADSL、IEC 62474 の6項目です。データ自体は読めても、版が古いと受入側の検査で弾かれることがあります。リストの見方は管理対象物質リストはどこを見ればいいのかに書きました。
具体的にどのようなメッセージが出るかは環境によって変わるため、ここでは文言を書きません。表示された文言はそのまま控えて、相談時に伝えてください。
よくある失敗4つ
1. 拡張子が .zip や別の形に化けている
メールの添付制限を回避するために送り手が圧縮したまま送っている、あるいは受信側のセキュリティ機器が拡張子を書き換えている場合があります。ファイル名の末尾を確認してください。.zip なら解凍すれば中に .shai が入っています。
勝手に拡張子を書き換えて .shai に戻すのは避けてください。中身が本当に別形式だった場合、壊れたファイルを掴んだまま原因探しをすることになります。
2. メールの添付経路で壊れている
社内外のメールゲートウェイが添付を検査し、再構成する過程でファイルが変質することがあります。判定は簡単で、送り手にファイルサイズを聞いて、手元のサイズと比べます。
違っていれば、共有ストレージやファイル転送サービスでの再送を依頼します。「メール経路で破損した可能性があります。別の手段でご送付いただけますか」で通ります。
3. クラウド同期フォルダに置いたまま開こうとしている
OneDriveなどの同期フォルダに置いたファイルは、実体がまだ手元に降りてきていないことがあります。アイコンに雲の印が付いていれば、その状態です。
同期フォルダからローカルの作業フォルダにコピーしてから開いてください。ツール本体を同期フォルダに展開するのも避けます。同期処理とツールの読み書きがぶつかると、動作が不安定になります(具体的な失敗の再現条件は未確認)。
4. ファイル名に全角文字、またはパスが長すぎる
ファイル名の全角文字、空白、記号が原因になることがあります。深い階層に置いているとパスの長さが上限に触れます。
確認は一手です。Cドライブ直下に短い名前のフォルダを作り、ファイルを半角英数字の短い名前にコピーして、そこから開き直します。これで開けば原因は名前かパス長です。
この4つを潰しても動かない場合、原因はファイル側ではなくツールの実行環境側にあります。切り分けの続きはツールが起動しない・エラーで怒られる時へ進んでください。
ツールを入れられない場合の代替
社内のソフトウェア持込が制限されていて、どうしても導入できないことがあります。回避策は二つです。
一つ目は、送り手に人が読める形での出力を依頼することです。データ作成支援ツールには内容を帳票として出力する機能があります。「ツール導入の社内手続き中のため、内容をPDFまたはExcelで併せてご送付いただけますでしょうか」と頼みます。多くの場合は応じてもらえます。ただし、これは中身を読むための応急処置であって、自社がデータを作成して提出する立場になったときには代替になりません。
二つ目は、作成代行に出すことです。相場は1件あたり4,000〜5,000円程度からで、標準納期は5営業日から2週間程度です(2026年9月時点、各社の公開価格)。件数が少ないうちは、導入の社内手続きを待つより早く片付くことがあります。内訳はchemSHERPA作成代行はいくらで何をしてくれるかにまとめました。
導入の社内申請を出す場合は、何を許可してほしいかを具体的に書くと通りやすくなります。依頼文の型は前述の記事に置いています。
.shaiをExcelで開く方法はありますか
ありません。Excelが読める形式ではないためです。中身を表で見たい場合は、データ作成支援ツールで読み込んでから帳票として出力するか、送り手にその出力を依頼してください。拡張子を .xlsx に書き換えても開きません。
相手から届いたファイルを、ツールなしで中身だけ確認したいです
送り手に帳票出力の併送を依頼するのが確実です。テキストエディタで開くと一部の文字は見えますが、成分の構成や閾値判定の結果を正しく読むことはできません。誤読して判断すると、後工程でより大きな手戻りになります。
無償と書いてありますが、本当に費用はかかりませんか
データ作成支援ツール自体はCMPコンソーシアムから無償で提供されています。費用がかかるのは、作成代行、分析、講習といった周辺のサービスです。ツールを入手するためだけに有償契約を結ぶ必要はありません。