chemSHERPA-AI と CI、どちらを出すのか3問で判定に関連するイメージ写真

chemSHERPA実務

chemSHERPA-AI と CI、どちらを出すのか3問で判定

拡張子が .shai になるか .shci になるかは、自社が納めるものが成形品か化学品かで決まります。判断に迷うのは全体の一部だけなので、そこを順番に潰します。

依頼メールに「chemSHERPAをお願いします」としか書かれていないことがあります。AIなのかCIなのかが書かれていない。この状態で作り始めると、作り終えてから様式違いで差し戻されます。

先に結論だけ置きます。自社が納めるものが成形品なら chemSHERPA-AI、化学品なら chemSHERPA-CI です。問題は、自社の製品がどちらなのかが自明でない品目があることです。

AIとCIは何が違うのか

二つは別の様式で、扱う情報の範囲も、出てくるファイルの拡張子も違います。

項目chemSHERPA-AIchemSHERPA-CI
対象成形品(アーティクル)化学品(ケミカル)
典型例部品、筐体、ねじ、基板、ケーブル、コネクタ塗料、インク、接着剤、樹脂ペレット、はんだ、めっき液
伝える情報成分情報+遵法判断情報成分情報のみ
拡張子.shai.shci
遵法判断供給者が行い、結果を記載する様式に欄がない
chemSHERPA-AI と chemSHERPA-CI の比較

「成形品」は法令用語で、形・表面・意匠が機能を決めるものを指します。「化学品」はそれ以外、つまり中身の組成で機能が決まるものです。輸送のために袋やドラムに入っていても、袋の形は機能ではないので化学品のままです。

用語の全体像は含有化学物質管理とは何をすることか、業務の全体像にまとめています。

3問で判定する

順番に答えると、ほとんどの品目は一発で決まります。

問1 納入するものは、形が機能を決めるか

ねじは、ねじの形をしていないとねじとして働きません。形が機能を決めています。成形品です。

接着剤は、容器の形を変えても接着剤のままです。形は機能を決めていません。化学品です。

ここで決まれば、問2以降は不要です。

問2 相手はそれをさらに加工して形を与えるか

問1で迷ったときに使います。納入先が溶かす、混ぜる、塗る、流し込む、といった工程を通すなら、渡した時点では形が機能を決めていないことになります。化学品です。

逆に、相手がそのまま組み付ける、貼る、はんだ付けする、ケースに収めるだけなら、形はもう決まっています。成形品です。

問3 依頼元の指定があるか

問1と問2で判定できても、依頼元が明示的に様式を指定している場合はそれに従います。相手の受入システムが片方しか受け付けない設定になっていることがあるためです。

指定と自社の判定がずれたときは、黙って従わずに一度確認してください。「御社の指定はCIですが、弊社の納入品は成形品にあたると考えています。CIには遵法判断情報の欄がないため、遵法判断が必要な場合はAIでの提出が可能です」と書けば通ります。依頼の受け方そのものは取引先からchemSHERPAを求められた初日にやることに置きました。

迷いやすい6例と、その答え

現場で実際に止まるのはこの辺りです。

品目判定理由
樹脂ペレットCIペレットの粒形は機能ではない。納入先が溶かして成形し、そこで初めて形が機能になる
はんだペーストCI粉末とフラックスの混合物。印刷して溶かすので、渡した時点の形は機能と無関係
めっき液CI液そのものは組成で機能が決まる。めっきされた後の部品はAIで、別物として扱う
両面テープAI基材フィルムと粘着層という層構造が機能を決めている。ロール状でも成形品
粉体塗料CI粉の粒度は取扱い性の問題で、機能は組成側にある。塗膜になった後は母材のAIに含める
ケーブルAI導体と絶縁体と外被の構造が機能。切り売りでも、切る前後で構造は変わらない
判断に迷う品目の判定

樹脂ペレットとケーブルが逆向きになる理由を一つだけ補足します。ペレットは納入先の成形工程で形が付与されますが、ケーブルは自社の押出工程で既に形が付与されています。どちらの工程で形が決まったか、が分かれ目です。

はんだについては、ペーストと線・棒・プリフォームで扱いが変わり得ます。プリフォーム(所定形状に打ち抜いたはんだ片)を成形品として扱うかどうかは、依頼元の運用によって差があります。ここは業界横断の統一見解を確認できていないので、未確認として依頼元に確認する項目に入れてください。

未確認

はんだプリフォームや、めっき前後で様式が変わる品目の扱いについて、CMPコンソーシアムの公式な統一判断が存在するかどうかは確認できていません。個別の依頼元の指定を優先してください。

CIに遵法判断情報がないのはなぜか

様式の手抜きではありません。化学品の段階では遵法判断ができないからです。

RoHSの閾値は均質材料あたりの重量比で効きます。REACH第33条の0.1重量%は成形品あたりで効きます。どちらも「どの範囲を分母にするか」が決まらないと判定できません。塗料を1缶渡された時点では、それが何にどれだけ塗られて、どの均質材料の一部になるのかが決まっていません。分母がないので、答えが出せない。

だから化学品の供給者は成分情報を正確に渡すところまでを担い、遵法判断は形を与えた側、つまり成形品にした側が行います。責任の切れ目がここにあります。

0.1%の分母の考え方は0.1%の分母は何か。均質材料の切り方に、誰が判断するのかという論点は遵法判断は誰がするのか、という最大の誤解に書きました。

上流から受け取ったCIの成分情報を、自社の成形品のAI作成時に材料として使う流れが想定されています。取込み操作の手順と、版による差異は使用中のツールで確認してください(版ごとの挙動差は未確認)。

取り違えると何が起きるか

三段階で効いてきます。

一段階目は、相手のシステムに取り込めない、というごく単純な事故です。拡張子が違うため、受入側が .shai を期待しているところへ .shci を送ると、受け取った側で処理が止まります。連絡が来るまで数日かかることがあります。

二段階目は、遵法判断情報の欠落です。成形品なのにCIで出すと、成分情報しか渡りません。依頼元は遵法判断の結果を求めているので、追加依頼が来ます。作り直しではなく作り足しですが、期限には効きます。

三段階目は、逆方向のほうが厄介です。化学品なのにAIで出すと、本来は自社が負わない遵法判断を自社名義で出したことになります。後で分母の取り方が違っていたと判明したとき、判断した側として説明を求められます。様式を合わせるためだけに、負わなくてよい責任を引き受けないでください。

差戻しの型と直し方は差戻し理由TOP10と、その直し方に並べています。

1つの製品でAIとCIが両方出ることもある

ここを誤解している人が多い。1社が1様式しか使わない、という決まりはありません。

塗料メーカーが、塗料そのものはCIで出し、自社で塗装した部品はAIで出す。これは矛盾ではなく、対象物が違うだけです。品目ごとに判定します。

社内で管理するときは、品目マスタに「AI/CI」の列を1つ足しておくのが早い。一度決めれば次からは引くだけになります。台帳の作り方は無料でできる範囲の管理台帳の作り方に書きました。

判定に使う一次情報

chemSHERPAの様式区分とデータ作成支援ツールは、CMPコンソーシアムが配布しています。2025年10月29日にJAMPから改組されており、サイトも cmp-consortium.com に移っています。旧URLは当面リダイレクトされますが、ブックマークは差し替えておいてください。移行で変わった点はJAMPはどこへ行った。CMPコンソーシアム移行で変わったことにまとめています。

最新のデータ作成支援ツールは V2R1.03.0(日本語版・中国語版は2026年4月24日公開、英語版rev.1は2026年5月1日、CMPコンソーシアム発表)です。管理対象物質リストは Ver.2.13.00 が2026年4月に正式版として公開されています。

自社は商社で、仕入れた部品をそのまま売っています。AIですか

納入するものが成形品であればAIです。商社かメーカーかは様式の判定に影響しません。ただし成分情報と遵法判断情報は製造元から入手する必要があります。製造元の.shaiをそのまま転送してよいか、自社名義に作り替えるかは依頼元に確認してください。

依頼元からCIを指定されましたが、納入品は明らかに部品です

一度確認したほうが早いです。受入システムの都合でCI固定になっている場合と、担当者が様式を誤解している場合があります。CIには遵法判断情報の欄がないので、遵法判断が必要ならAIが必要になる、という一文を添えて聞いてください。

AIとCIで、作成にかかる手間はどれくらい違いますか

CIのほうが軽くなります。成分情報だけで済み、遵法判断の根拠集めが不要だからです。AIは成分の把握に加えて、閾値判定と適用除外の確認が入るので、初回は半日から2日程度みておくと安全です。2件目以降は短くなります。

  • chemSHERPA-AI
  • chemSHERPA-CI
  • 成形品
  • 化学品
  • 判定