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法規制解説

SVHC第36次はいつ来るのか

次がいつかを当てにした段取りは、もう組めません。かわりに、いつ来ても動ける状態を先に作っておく話です。

「次のSVHC追加は何月ごろですか」という質問をよく受けます。答えは、分からない、です。分からないことを分からないまま扱うのが、この記事の趣旨になります。

2026年9月時点で、第36次の追加は公表されていません。これは確認できている事実です。そして次がいつ来るかについては、公表されていない以上、誰も確定的なことは言えません。

従来のリズムが崩れている

候補リストの更新は、長らく年2回の定期的なタイミングで行われてきました。1月前後と6月前後というのが通例で、年によっては12月にずれることもありました。担当者はこのリズムを前提に、期初と期央に調査期間を確保するという年間計画を組んでいました。

直近2回は、このリズムに乗っていません。

公表日従来のリズムとの関係
第34次2025年11月5日1月・6月のいずれからも外れている
第35次2026年2月4日第34次からおよそ3か月。従来の半年間隔より短い
第36次未公表(2026年9月時点)第35次から7か月以上、追加の公表なし
直近の追加タイミングと、従来の想定

2回続けて外れた、というのが重要な点です。1回であれば例外として扱えますが、2回連続で、しかも間隔が短くなったり長くなったりしています。この状態で「おそらく次は○月」と言うのは、根拠のない推測になります。

予測を断定してはいけない理由

この領域では、時期の予測がそのまま社内の段取りに変換されます。「11月ごろに来るらしい」と伝えると、10月に調査要員を確保する計画が組まれ、10月に来なければその要員は別の仕事に回されます。そして実際に来たときには誰も手が空いていません。

予測が外れること自体より、予測を前提に組んだ段取りが崩れることのほうが被害が大きい。だからこの記事では、時期を当てにしない組み立て方を書きます。

未確認

第36次の公表時期について、本サイトでは一切の見通しを持っていません。2026年9月時点で未公表であることのみが確認済みの事実です。他所で見かけた「次は○月」という記述は、出典を確認してから社内に流してください。

ECHAの動きは自動では取れない

「事前に兆候をつかめないか」という発想は自然です。ECHAはregistry of SVHC intentions(SVHC提案の登録簿)を公開しており、どの物質が候補リスト入りを提案されているかを見ることができます。理屈のうえでは、ここを監視していれば追加の予告になります。

ただし運用上の問題があります。ECHAのサイトは自動取得を拒否することがあり、スクリプトで定期取得しようとすると403が返ります。つまり、社内の監視の仕組みに組み込んで自動でアラートを飛ばす、という作り方が安定しません。

現実的な運用は、担当者が決まった頻度でブラウザから目視確認する、という形になります。地味ですが、これが一番壊れません。

項目決めておくこと決めない場合に起きること
頻度月1回など、日付を固定する忙しい月に飛ばされ、そのまま習慣が消える
担当役職で決める。個人名にしない異動で監視が止まる
見る場所ECHAの候補リストと提案登録簿、CMPコンソーシアムの告知人によって見る場所が変わり、抜けが出る
記録確認日と「変化なし」も残す見たかどうかが後から分からない
伝達先変化があったときに誰へ上げるか担当者の中で止まる
監視の運用(目視前提の設計)

「変化なし」を記録に残すのがコツです。何も起きなかった月の記録がないと、監視が機能していたのかサボっていたのかを、あとから区別できません。

時期ではなく、準備の状態で管理する

次がいつ来るかを管理する代わりに、いつ来ても動ける状態にあるかどうかを管理します。確認する項目は3つです。

品目と部位の一覧があるか

自社がEU向けに出している製品の品番と、その中の構成部位まで落とした一覧です。これがあると、追加された物質の用途が分かった瞬間に、調べる範囲を絞れます。ないと全品目を頭から見ることになり、それだけで数日が消えます。

一覧に入れる列は、品番、仕向地、構成部位、部位の材質、仕入先です。材質の列が入っていると、絞り込みの精度が一段上がります。管理台帳の作り方は無料でできる範囲の管理台帳の作り方を参照してください。

仕入先への照会経路があるか

誰に送れば返ってくるか、という情報です。会社名ではなく、担当者名とメールアドレスの粒度で持ちます。前回の照会で返信が遅かった先には印をつけておきます。

照会しても返ってこないのは、この領域でもっともよく聞く悩みです。督促の段階ごとの文面は返ってこない調査依頼の督促テンプレート3段階にまとめました。

前回の判断記録があるか

前回の追加のときに、どこまで調べて、何を対象外とし、その理由は何だったか。この記録があると、今回の作業は差分だけで済みます。

記録の様式は凝らなくて構いません。判断日、適用したリストの版、調査の対象範囲、結論、根拠資料。この5つが埋まっていれば、監査で聞かれても答えられます。判断の責任範囲の考え方は遵法判断は誰がするのか、という最大の誤解に書いています。

確認項目あるない場合に増える作業時間の目安
品目と部位の一覧追加物質の用途から即座に絞り込める全品目の洗い出しに数日
部位の材質情報樹脂・めっき・はんだ等で当たりをつけられる仕入先への照会範囲が膨らむ
仕入先の担当者連絡先当日中に一斉照会が出せる窓口探しに半日以上
照会文面の雛形そのまま送れる文面作成と社内確認に半日
前回の判断記録差分だけ見ればよいゼロから同じ調査をやり直す
準備状態のチェック(次の追加が来る前に)

この表の右の列を足すと、準備がない場合の作業量がだいたい見えます。準備がある会社は1日、ない会社は1週間、というのがおおまかな分かれ目です。

よくある勘違い:追加されると全品目を調べ直す

追加のたびに全品目を頭から洗い直している会社があります。物質が増えたのだから全部見直すべきだ、という発想です。気持ちは分かりますが、これをやると毎回1週間かかり、続きません。

実際に必要なのは差分の調査です。追加された物質の用途が自社の製品分野と重なるかを先に見て、重なる部位だけに絞る。重ならなければ、重ならないという判断を記録して終わります。全品目を見直すのは、絞り込みの根拠が何も残っていない場合だけです。

裏を返すと、絞り込みの根拠を毎回残しておけば、調査範囲は回を追うごとに狭くなります。準備とは、この根拠を積み上げておくことでもあります。

準備が整っているなら、当日は手順に従うだけ

準備が揃っている前提での当日の動き方は、時間割の形で別記事にしました。SVHCが追加された時の影響調査を1日で終える手順を見てください。午前に絞り込み、午後に照会と記録という配分になっています。

第36次を待つあいだにやれること

追加を待つ期間は、準備を進める時間です。優先順位をつけるなら次の順になります。

  1. 品目と部位の一覧を作る。完璧を目指さず、EU向け出荷品から始める
  2. 仕入先の担当者連絡先を更新する。前回から1年以上経っていれば、人が変わっている
  3. 照会文面の雛形を用意し、社内の承認を先に取っておく
  4. 前回の判断記録を探し、見つからなければ様式だけでも決める

3の「承認を先に取る」が効きます。照会文面に法務や品質の確認が必要な会社では、当日に文面を作ると、その確認だけで1日が終わります。

追加された物質そのものの情報は、公表後にSVHC候補リストの最新状況を更新します。候補リスト収載が何を意味するのか、禁止と何が違うのかについてはREACH規則を実務目線でわかりやすくに置きました。

第36次はいつ発表されますか

2026年9月時点で公表されていません。従来は年2回の定期的なタイミングでしたが、第34次が2025年11月5日、第35次が2026年2月4日と、そのリズムから外れています。時期を前提にした計画は組まないほうが安全です。いつ来ても動ける準備をしておくほうが、結果として早く終わります。

ECHAのサイトを自動で監視する方法はありますか

ECHAのサイトは自動取得を拒否することがあり、スクリプトによる定期取得は安定しません。担当者が月1回など頻度を決めて、ブラウザから目視で確認する運用が現実的です。確認日と、変化がなかったことも記録に残してください。

追加されたらすぐ対応しないと違反になりますか

第33条の情報伝達義務は、候補リストに収載された時点から対象になります。ただし現実の調査には時間がかかるため、まず自社品目との関係を確認し、該当が疑われる範囲から順に手をつけることになります。調査中であることと、いつまでに結論を出す見込みかを取引先に伝えておくと、受入側も判断できます。

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