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運用・体制づくり

管理規定・手順書の作り方(雛形)

完璧な規定を最初から作ろうとすると時間がかかりすぎます。最低限の4項目に絞って作り、運用しながら改訂するほうが向いています。

含有化学物質管理の管理規定は、担当者が一人で回している小規模な体制でも作っておく価値があります。規定がないまま属人的に運用していると、担当者が交代したときに業務が止まる、あるいは監査で「規定が存在しない」という指摘を受けるリスクがあります。

最低限含めるべき4項目

項目決めること
対象範囲の定義どの製品・部品・部材を管理対象にするか(梱包材・副資材を含むか)
業務フロー調査依頼の受領から回答、記録保管までの流れ
役割分担誰が遵法判断を行い、誰が最終承認をするか
記録の保管期間いつまで、どこに、どの形式で残すか
管理規定に最低限含める4項目

1つ目は対象範囲の定義で、どの製品・部品・部材を管理対象にするか(梱包材や副資材を含めるかどうかも含めて)を明記します。多くの企業で漏れが発生しやすいのが、めっき・塗装・接着剤・ラベルといった副資材で、対象範囲の定義段階でこれらを明示的に含めておくことが重要になります。

2つ目は業務フローで、調査依頼の受領から回答、記録保管までの流れを図示します。「誰が受け取り」「誰が判断し」「誰が回答するか」を矢印でつないだ簡単なフローチャート1枚で十分です。

3つ目は役割分担で、誰が遵法判断を行い、誰が最終承認をするのかを明確にします。一人担当の場合は、判断と承認を同一人物が兼ねることになりますが、その場合でも「誰が最終責任者か」を規定上明記しておくことで、監査時の説明がしやすくなります。

4つ目は記録の保管期間とルールで、受領したデータをいつまで、どこに、どの形式で残すかを定めます。PPWRのような欧州規制では技術文書の保管が5年〜10年求められるケースもあり、社内規定の保管期間もこうした要求水準に合わせておくと、後から慌てて基準を見直す必要がなくなります。

雛形の作り方

雛形を作る際は、経済産業省や中央会が公開している手引き類を土台にしつつ、自社の実態(担当者の人数、扱う製品数)に合わせて簡略化することが現実的です。完璧な規定を最初から作ろうとすると時間がかかりすぎるため、まず最低限の4項目を1〜2ページにまとめ、運用しながら改訂していくやり方が向いています。改訂のたびに版数と改訂日を記録しておけば、それ自体が監査対応の材料にもなります。

規定の分量を欲張らないことが継続のコツです。10ページを超える規定書は、作った本人以外が読まなくなりがちです。まず1〜2ページで最低限を押さえ、運用のなかで足りない部分が見えてきたら、そのときに追記する順番のほうが、実際に使われる規定になります。

承認と見直しのタイミング

規定の承認は、組織の規模によりますが、最低限、品質管理部門の責任者による承認は必要です。監査で規定の存在を確認された際に、承認者と承認日が明記されていないと「運用されていない規定」とみなされる可能性があります。

見直しの頻度は、規制改正(RoHSの適用除外期限、PFAS規制の追加など)があるたびに見直すのが基本ですが、それとは別に年1回は棚卸しのタイミングを設け、実態と規定にずれが生じていないか確認することをおすすめします。

規定と手順書の違い

「規定」と「手順書」を同じものとして扱ってしまうと、内容が膨らみすぎて使われなくなります。規定は「何を、誰の責任で行うか」という原則を定めるもので、変更頻度は低めです。手順書は「具体的にどの画面で、どの順番で作業するか」という実務の手引きで、システムや取引先の要求が変わるたびに更新が必要になります。この2つを1つの文書に混在させると、些細な手順変更のたびに規定全体を改訂することになり、改訂の手間が増えて放置される原因になります。規定は1〜2ページの原則だけにとどめ、具体的な操作手順は別紙やマニュアルに分離しておくと、それぞれを適切な頻度で更新できます。

よくある失敗パターン

管理規定づくりでよく見られる失敗は、大きく3つあります。1つ目は、他社のひな形をそのままコピーして、自社の実態と合わない項目まで残してしまうことです。使わない項目が残っていると、監査で「この規定通りに運用されていますか」と聞かれたときに答えに窮します。2つ目は、規定を作った時点の体制を前提にしたまま、担当者が増えても更新しないことです。役割分担の記載が古いままだと、実際の運用と規定が食い違う状態になります。3つ目は、規定を作ったこと自体を目的にしてしまい、実際に規定を参照する機会を作らないことです。年に一度は規定を見返す機会(棚卸しのタイミング)を業務カレンダーに組み込んでおくと、この失敗を避けられます。

監査を見据えた記載の仕方

規定を監査対応の材料として機能させるには、「どのように運用しているか」を具体的に書いておく必要があります。「適切に管理する」といった抽象的な表現だけでは、監査員から「具体的にはどういう手順か」を追加で問われることになります。たとえば「調査依頼を受領したら3営業日以内に担当部署へ回付する」のように、数値や期限を入れて具体的に書いておくと、規定を見ただけで運用の実態が伝わり、監査対応の時間も短縮できます。

改訂履歴の残し方

規定を改訂するたびに、版数・改訂日・改訂理由・改訂者を記録した改訂履歴を規定の末尾に残しておくことをおすすめします。改訂履歴があると、監査で「以前はどうなっていたか」を聞かれたときにも説明できますし、規制改正のたびにどう対応してきたかという社内の実績記録にもなります。改訂履歴を残す習慣がないまま規定を上書きし続けると、過去の運用がどうだったかを追跡できなくなり、次に規制が変わったときの対応判断にも支障が出ます。

規定を整えても、実際の業務が担当者一人に依存したままでは、規定通りに運用されているかを他の人が確認できません。規定と並行して、依頼台帳・受領台帳・期限アラートといった最小限の仕組みを整えることも重要です。具体的な進め方は属人化を解く最小の社内体制にまとめています。

小規模組織での運用の現実解

担当者が一人しかいない組織では、規定の作成そのものに時間を割きにくいという事情もあります。その場合は、最初から完成度の高い規定を目指すのではなく、現状の運用をそのまま書き起こすところから始めるとよいでしょう。理想の姿を先に描いてしまうと、実態との乖離が大きくなり、規定が形骸化します。まず「今どうやっているか」を文書化し、そのうえで明らかに不備がある部分(承認者が不明確、保管期間が未定など)だけを補うという順番のほうが、現実的に運用が続く規定になります。

規定の置き場所も決めておく

規定そのものをどこに保管し、誰がいつでも参照できるようにするかも決めておく必要があります。担当者のPCだけに保存されていると、規定の存在自体が他の人に伝わりません。共有フォルダの分かりやすい場所に置き、規定の存在と保管場所を年に一度は周知する機会を設けておくと安心です。

新任担当者への説明資料としても使う

管理規定は、監査対応だけでなく、新しく担当者になった人への説明資料としても機能します。規定に沿って業務の流れを説明すれば、口頭での引継ぎだけに頼らず、体系立てて業務を理解してもらえます。規定を作成する際は、初めてこの業務に関わる人が読んでも理解できる平易な言葉を選ぶことを意識しておくと、監査対応と新任教育の両方に使える文書になります。

関連文書との整合性を保つ

管理規定は単独で存在するのではなく、依頼台帳や受領台帳、督促テンプレートといった実務文書と整合している必要があります。規定に書いた業務フローと、実際に使っている台帳の項目や督促のタイミングがずれていると、規定自体の信頼性が疑われます。規定を改訂する際は、関連する台帳やテンプレートも同時に見直す習慣をつけておくと、文書間の矛盾を防げます。

規定は誰が承認すればよいですか

組織の規模によりますが、最低限、品質管理部門の責任者による承認は必要です。監査で規定の存在を確認された際に、承認者と承認日が明記されていないと「運用されていない規定」とみなされる可能性があります。

規定を作った後、どのくらいの頻度で見直すべきですか

規制改正(RoHSの適用除外期限、PFAS規制の追加など)があるたびに見直すのが基本ですが、それとは別に年1回は棚卸しのタイミングを設け、実態と規定にずれが生じていないか確認することを推奨します。

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